屋根葺き替えとカバー工法の違いは?最適な選択ガイド

屋根のリフォームを検討する際、「葺き替え」と「カバー工法」のどちらを選択するか迷っていませんか。どちらも屋根を新しくする工事ですが、工事内容や費用、メリット・デメリットが大きく異なります。本記事では、両工法の違いを徹底比較し、あなたの住宅に最適な選択ができるよう詳しく解説します。自宅の屋根のリフォームの参考にしてください。

目次

屋根葺き替えとカバー工法の基本

屋根のリフォームには大きく分けて「葺き替え」と「カバー工法」の2つの方法があります。それぞれ工事の進め方や特徴が異なるため、まずは基本的な内容を理解しておくことが重要です。ここでは両工法の定義と工事内容について詳しく見ていきましょう。

屋根葺き替えとは

屋根葺き替えは、既存の屋根材をすべて撤去し、新しい屋根材に交換する工事です。まず足場を組んでから古い屋根材を剥がし、下地である野地板や防水シート(ルーフィング)の状態を確認します。傷んでいる部分は補修または交換し、新しい防水シートを敷設してから選んだ屋根材を施工する方法です。下地から全て新しくできるため、屋根の寿命を最大限に延ばせます。築30年以上の住宅や、雨漏りが発生している場合に選ばれることが多い工法となります。

カバー工法とは

カバー工法は、既存の屋根材を撤去せず、その上に新しい屋根材を重ねて施工する工事です。既存屋根をそのまま残すため、撤去作業や廃材処分が不要になります。まず既存屋根の上に新しい防水シートを敷き、その上から新しい屋根材を施工する方法です。工期は葺き替えの半分程度で済み、費用も抑えられます。ただし既存屋根の状態が良好であることが前提で、下地の劣化が進んでいる場合は施工できません。築20年前後で屋根材の劣化が気になり始めた住宅に適した工法です。

両工法の工事内容の違い

最も大きな違いは、既存屋根材の撤去作業の有無です。葺き替えは完全に撤去するため、下地の状態を確認でき、必要に応じて補修できます。一方カバー工法は撤去しないため、下地の状態は確認できません。工期にも大きな差があり、葺き替えは7日から10日程度かかりますが、カバー工法は3日から5日程度で完了するのです。廃材処理の量も異なり、葺き替えでは大量の廃材が出るため処分費用がかかります。カバー工法は廃材がほとんど出ないため、環境面でも優れていると言えるでしょう。

費用の違いを徹底比較

工事方法を選ぶ際、費用は最も気になるポイントのひとつです。葺き替えとカバー工法では、費用に30%から40%程度の差が生じます。ここでは具体的な費用相場と、なぜカバー工法の方が安いのかについて詳しく解説します。

項目 葺き替え カバー工法 差額
1平方メートルあたり単価 8,000円〜15,000円 5,000円〜10,000円 約3,000円〜5,000円
30坪住宅の総額 120万円〜230万円 80万円〜150万円 約40万円〜80万円
工期 7日〜10日 3日〜5日 約4日〜5日短縮
廃材処分費 必要 ほぼ不要 約10万円〜20万円

葺き替えの費用相場

屋根葺き替えの費用相場は、1平方メートルあたり8,000円から1万5,000円程度です。30坪の住宅なら、総額で120万円から230万円が目安となります。この費用には、既存屋根材の撤去費用、廃材処分費、下地補修費用、新規屋根材の材料費と施工費、足場設置費用などが含まれるのです。使用する屋根材によって価格は変動し、スレートなら比較的安価ですが、瓦やガルバリウム鋼板を選ぶと高額になります。下地の状態によっては野地板の全面交換が必要になり、追加費用が発生することもあります。

カバー工法の費用相場

カバー工法の費用相場は、1平方メートルあたり5,000円から1万円程度です。30坪の住宅では、80万円から150万円が目安となります。撤去費用と廃材処分費がかからない分、葺き替えよりも30%から40%程度安く施工できるのです。費用の内訳は、新規屋根材の材料費と施工費、防水シートの設置費用、足場設置費用が中心になります。ただしカバー工法で使用できる屋根材は軽量なものに限られるため、選択肢は葺き替えより少なくなります。

なぜカバー工法の方が安いのか

カバー工法が安い最大の理由は、既存屋根材の撤去作業が不要なことです。撤去には専門の職人と時間がかかり、人件費が大きく膨らみます。また撤去した屋根材は産業廃棄物として適切に処分しなければならず、その費用だけで10万円から20万円程度は必要です。工期が短いことも費用削減につながり、葺き替えが7日から10日かかるのに対し、カバー工法は3日から5日で完了します。作業日数が半分程度になれば、人件費や足場のレンタル費用も抑えられるでしょう。

メリット・デメリットの比較

どちらの工法にも長所と短所があり、一概にどちらが優れているとは言えません。住宅の状態や予算、今後の計画などを総合的に考慮して選ぶ必要があります。ここでは両工法のメリット・デメリットを詳しく比較しましょう。

葺き替えのメリット・デメリット

葺き替えの最大のメリットは、下地から全て新しくできることです。野地板や防水シートも交換できるため、屋根の寿命を30年から60年延ばせます。また軽量な屋根材に変更すれば、建物の耐震性を向上させることも可能です。下地の状態を目視で確認できるため、隠れた劣化を発見できる点も安心につながります。デメリットは費用が高額なことで、カバー工法の1.5倍から2倍程度かかることです。工期も長く、その間は騒音や粉塵が発生します。大量の廃材が出るため、環境負荷も大きくなります。

カバー工法のメリット・デメリット

カバー工法のメリットは、費用を大幅に抑えられることです。撤去費用と廃材処分費がかからないため、葺き替えより30%から40%安く施工できます。工期が短いことも大きな利点で、3日から5日程度で完了するため、日常生活への影響が少なくて済むのです。廃材がほとんど出ないため、環境にも優しい工法と言えます。デメリットは下地の状態を確認できないことで、既に劣化が進んでいた場合、数年後に問題が発生する可能性があります。屋根が二重になることで重量が増すため、建物の構造によっては、耐震性への影響を考慮しなければなりません。

工期と騒音の違い

工期の違いは日常生活に大きく影響します。葺き替えは7日から10日程度かかり、その間は屋根材を剥がす音や職人の作業音が響くのです。特に既存屋根材の撤去時は、大きな音と粉塵が発生します。カバー工法は3日から5日程度で完了し、撤去作業がないため騒音や粉塵は比較的少なめです。ただし新しい屋根材を施工する際の音は両工法とも発生します。近隣への配慮が必要な住宅密集地では、工期が短く騒音が少ないカバー工法の方が適しているかもしれません。

どちらを選択するか判断基準

適切な工法を選ぶには、住宅の状態や築年数、予算などを総合的に判断する必要があります。間違った選択をすると、数年後に再度工事が必要になることもあるのです。ここでは具体的な判断基準について解説します。

葺き替えが適しているケース

築年数が30年以上経過している住宅は、下地の劣化が進んでいる可能性が高いため葺き替えが適しています。雨漏りが発生している場合も、原因が下地にある可能性があるため、葺き替えで根本的に解決する必要があります。屋根が全体的に波打っているように見える場合は、野地板が腐食しているかもしれません。また重い瓦屋根から軽量な屋根材に変更して耐震性を向上させたい場合も、葺き替えが適しています。長期的に住み続ける予定があり、一度の工事で確実に直したい方にもおすすめです。

カバー工法が適しているケース

築年数が20年前後で、屋根材の色褪せや軽度の劣化が見られる程度なら、カバー工法が適しています。雨漏りは発生しておらず、下地の状態も良好と判断できる場合に選択する工法です。予算に限りがあり、できるだけ費用を抑えたい場合に有効です。工期を短くしたい、近隣への影響を最小限にしたいという要望がある場合にも適しています。ただし既存屋根がスレートかガルバリウム鋼板であることが前提で、瓦屋根にはカバー工法は適用できません。

業者に相談する際のポイント

工法を決定する前に、必ず専門業者による屋根診断を受けましょう。屋根に登って目視で確認し、下地の状態を推測してもらうことが重要です。築年数だけで判断せず、実際の劣化状況を確認してください。また建物の構造も確認する必要があり、カバー工法で屋根が重くなっても問題ないか、構造計算をしてもらうと安心です。複数の業者から意見を聞き、それぞれの提案内容を比較することで、より適切な判断ができるようになります。

失敗しない工法の選び方

適切な工法を選ぶには、正確な診断と長期的な視点が必要です。目先の費用だけで判断すると、後々大きな出費につながることもあります。ここでは失敗しないための具体的なポイントを解説しましょう。

屋根の状態を正確に診断する

専門業者による詳細な点検を受けることが、適切な工法選択の第一歩です。実際に屋根に登って目視で確認し、屋根材のひび割れや欠け、色褪せの程度をチェックしてもらいましょう。赤外線カメラを使った調査では、雨漏りや断熱材の劣化を発見できます。下地の状態は外から見ただけでは分かりにくいため、小屋裏(天井裏)に入って野地板の状態を確認してもらうことも重要です。築年数が古い住宅では、見えない部分の劣化が進んでいることも珍しくありません。

長期的なコストで考える

初期費用だけで判断せず、長期的な視点でコストを比較することが大切です。カバー工法は初期費用が安いですが、10年から15年後に再度工事が必要になる可能性があります。そのときは既存の二重屋根をすべて撤去する必要があり、通常の葺き替えより高額になるのです。一方、葺き替えは初期費用が高いものの、30年から40年は大きなメンテナンスが不要になります。今後何年住む予定か、次のリフォーム時期をどう考えるかによって、最適な選択は変わってくるでしょう。

信頼できる業者の選び方

適切な工法を選ぶには、信頼できる業者のアドバイスが欠かせません。必ず建設業許可を取得している業者を選び、許可番号を確認してください。屋根工事の施工実績が豊富で、同じような規模や築年数の住宅での経験がある業者が望ましいです。詳細な見積書を提示し、材料費・人件費・諸経費などを明確に記載している業者を選びましょう。「絶対にこの工法がいい」と一方的に勧めるのではなく、両工法のメリット・デメリットを説明し、最終判断を施主に委ねる業者が信頼できます。

まとめ

屋根葺き替えとカバー工法は、それぞれ特徴が大きく異なる工事方法です。葺き替えは費用が高額で工期も長いですが、下地から全て新しくできるため確実性が高く、長期的な安心を得られます。カバー工法は費用を30%から40%抑えられ、工期も短いため手軽ですが、下地の状態を確認できないリスクがあります。

築30年以上の住宅や雨漏りが発生している場合は葺き替え、築20年前後で下地が良好なら、カバー工法が適しているでしょう。ただし最終的な判断は、専門業者による詳細な診断を受けてから行うことが重要です。初期費用だけでなく長期的なコストも考慮し、信頼できる業者と相談しながら、あなたの住宅に最適な工法を選んでください。

参考サイト

本記事の費用相場や工事内容に関する情報は、以下のサイトを参考にしています。

国土交通省「住宅リフォームの基礎知識」

一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会

全国建設労働組合総連合

リフォーム産業新聞社「リフォーム費用相場」

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